記憶の2種類と思い出す力

短期記憶と長期記憶

記憶には2つの種類があります。それは短期記憶と長期記憶です。名前の通り記憶できる長さが違います、短期記憶は数秒から数分で忘れてしまうもので、勉強した直後は覚えていられますが、1時間も経てばほとんど忘れてしまっているような記憶です。パソコンでいうと、電源を切ると消えてしまうメモリのようなものです。一方長期記憶とは1か月2か月、されには一生覚えているような記憶です。高校受験や大学入試の時にはこの記憶が大切になってきます。パソコンでいうとハードディスクに記録された情報のようです。この短期記憶から長期記憶に変換することがより長期間覚えていられるカギとなります。

記憶の過程

記憶は「記銘→保持→想起」の3つのプロセスと通ります。記銘とは一時的に覚えることで、短期記憶の状態です。神経衰弱のトランプゲームや電話番号をとりあえず記憶するときのようにすぐに忘れてしまう記憶です。保持とは短期記憶を長期記憶に変換することです。一度取り入れた情報でも数分で忘れてしまうので何度も繰り返し覚えることで長期記憶に変換されます。ですがこの段階でははまだ長期記憶の初期段階なので一日もしたら半分以上忘れてしまいます。受験勉強など一度記憶した(保持した)ことをずっと忘れないようにするには、最初の1か月間何度も復習を繰り返しその後も一か月に一回や、三カ月に一回のペースで復習することが記憶の定着に役立ちます。ですが保持した記憶でも「想起」つまり思い出さなければ意味がありません。どんなにたくさんのことを覚えても宝の持ち腐れになってしまいます。高校受験や大学入試では勉強するだけでなく、思い出す訓練も欠かせません。記憶は思い出す、つまりアウトプットしてこそ本当に意味があります。

思い出す力を鍛える

人間の脳は覚える力は衰えませんが、思い出す力というのは残念ながら衰えていきます。記憶は思い出してこそ意味があるのでこの力を鍛えることが必要です。その一つの良い方法は、脳の中にある「場所細胞」をつかうことです。例えば買い物しなくていけないもののリストを作って、頭の中でその一つ一つを自分が良く通る道や部屋に配置していきます。自分のよく知っている場所と覚えたいものを関連付けて覚えるだけで、頭の中でその場所をたどったときに自動的に思い出すことが出来るのです。他にもいろいろな方法で思い出す力を鍛えることが出来ます。また記憶を司る海馬は有酸素運動で鍛えられるということも分かっています。週3回の40分の有酸素運動で海馬が大きくなるという研究結果もでています。

記憶には短期記憶と長期記憶があり、取り入れた情報を復習することで短期記憶から長期記憶へ移行することが出来ます。記憶が保持されたら場所細胞を使って思い出すことや、有酸素運動で記憶力をアップすることができます。